「ウリ・ヤド・ヒト・コネ・アシ」を強化 沖縄観光、国からの支援が決定


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観光庁の星明彦観光政策調整官(左)、玉城デニー知事=28日、県庁

 観光庁は28日、高付加価値な旅行を求める、いわゆる富裕層のインバウンド(訪日客)を地方へ誘客する観光地づくり事業のモデル観光地として「沖縄・奄美」などを選定した。同時に、訪日客の本格的な再開を図る「観光再始動事業」で沖縄から5事業が採択された。第6次県観光振興基本計画で掲げる「量から質への転換」を後押しする国からの支援の決定を受け、県内観光関係者からは喜びの声が上がった。

 観光地の魅力を表す「ウリ」、上質な宿泊施設を指す「ヤド」、富裕層のニーズを満たす人材の「ヒト」、富裕層を誘客する人脈などの「コネ」、ストレスの少ない移動を意味する「アシ」の5つの観点から、施策を集中的に実施していく。

 観光庁の担当者はモデル地区の選定理由について「首里城などの文化遺産や、琉球王国時代から代々受け継がれた工芸などが、外国人にとって学びがある」と説明。奄美諸島を含め琉球弧として一体の選定となったことから、「今後は県や市町村、民間団体など複数の事業体が連携する必要性もでてくる。その場合には相互に連携してもらうこともあり得る」話した。

 沖縄経済同友会の渕辺美紀代表幹事(JCC会長)は「量から質への転換が図れるチャンスで、沖縄観光の底上げにつながるものだ。これから観光業以外でも県全体でインフラ整備などが必要だ」と今後の取り組みを見据えた。

 県ホテル協会の平良朝敬会長は「富裕層向けの特殊で新しいコンテンツを作ることに意義がある。これをきっかけとして沖縄文化の洗い出しをすることで磨きがかかり、より世界に広がっていくだろう」と期待を込めた。

 28日、県庁を訪れた観光庁の星明彦観光政策調整官から報告を受けた玉城デニー知事は「世界に選ばれる持続可能な観光地として重要視されていると認識している。世界と共通する深い価値観を保持できるよう、力を合わせ頑張っていく」と力強く語った。
 (與那覇智早)