サンゴ採捕不許可、国が沖縄県に「是正の指示」 辺野古移設工事に伴うサンゴ移植巡り


この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎
辺野古の新基地建設現場=2022年3月

 辺野古新基地建設に伴う埋め立て海域のサンゴ移植を巡り、農林水産相は29日、沖縄県が不許可とした沖縄防衛局の特別採捕許可申請を許可するよう地方自治法に基づく「是正の指示」を出した。県は是正の指示を巡って総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」(係争委)に審査を申し出るか検討する。サンゴ移植を巡り、国が県に是正の指示を出すのは2回目。

 採捕許可の申請対象となっているのは大浦湾側の小型サンゴ類約8万4千群体、ショウガサンゴ8群体と大型サンゴ類21群体だ。

 沖縄防衛局が申請したサンゴの特別採捕許可を県が不許可としたのに対し、農相は昨年12月、県の不許可処分を取り消す裁決をしていた。農相は県の不許可処分を取り消した後も、サンゴの移植を許可しない県の対応は漁業法に違反するとして、今月17日付で「許可処分をするよう」県に勧告し、24日までの対応を求めていた。

 県は勧告に対する回答で、大浦湾側の埋め立て工事については軟弱地盤の改良に伴う設計変更を巡り、3件の裁判が争われていることを指摘した。昨年12月のサンゴ移植に関する取り消し裁決は、設計変更申請を不承認とした県の判断を取り消した国土交通相裁決と是正の指示が有効であることを前提としており、「重大かつ明白な瑕疵(かし)に該当する」と農相の判断を問題視した。

 玉城デニー知事は「本日、許可処分をするよう指示する文書が発出されたと担当部局から聞いている。今後、正式に是正の指示が届いた後、関係部局において内容を確認し、沖縄県としてどのような対応をすべきか、検討する」と述べた。

(梅田正覚)