ことしの夏、沖縄の電気は足りる? 全国の「供給予備率」公表 沖電の予備率が高い理由とは


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 経済産業省は29日、2023年度の電力需要に対する供給余力を示す予備率の予測を発表した。原発稼働などで供給力が増え、夏の予備率は東京電力管内を除き全国的に安定供給に最低限必要とされる3%を上回った。東電管内は7月に3.0%と厳しく、経産省は同日開いた有識者会議で火力発電などを対象に追加供給に協力する事業者を公募する方針を固めた。

 今月31日には、政府が全国の家庭や企業を対象に昨年12月から実施してきた冬の節電要請が終了する。需給の逼迫(ひっぱく)は休止中の火力発電所を再稼働するなどして回避した。

 予備率は10年に1度の猛暑や厳冬を想定。夏場は気温が平年並みか高くなる見込みなのに加え、テレワークの普及で需要が拡大する一方、新設火力の運転開始が増える効果もあって、東電管内以外の予備率は7、8月に8%以上を確保する見通しだ。

 沖縄電力は大手電力の中でも供給予備率が高い。40近くの有人離島を抱えることや、本土と離れていて電気を融通し合えない単独系統のため、他の電力大手と比べて予備の設備を多く確保しておく必要がある。そのため、供給予備率は他社よりも高くなる傾向がある。

 供給予備率の見通しは、冷房が増えて電力需要が多い夏場(2023年8月)で18.7%、冬(24年1月)で42.8%となっている。

 東電管内の予備率は8月も3.9%と綱渡りが続く。冬場で最も厳しくなるのは1月の北海道、東北、東京各管内で4.6%。発電所の故障などがあれば需給が逼迫する恐れがある。

 経産省は事業者の公募により7、8月を中心に追加供給力を確保する。

 昨夏は、22年3月の福島県沖地震の影響で複数の火力発電所が長期停止に陥り、予備率が地域により一時3%近くに落ち込むとの事前予測を受け、政府が全国規模で節電を要請した。
(共同通信)