ケースワーク(個別支援業務)は、子どもにとっても里親や実親にとっても負担がないように進めるべきだ。子どもが事実を咀嚼(そしゃく)して納得し、自分は里親の所に来て良かったと思えるようなストーリーを紡ぐのが支援のプロセスだ。
今回の報告書にある児童相談所の対応はケースワークとは呼べない。委託解除が目的化していた。児相がやったのは、里親から子どもを引き離すためのパワーゲームだ。児相の嘱託弁護士は、子どもではなく、児相のために動いていたとしか思えない。
必要なのは子どものアドボカシー(権利擁護、代弁活動)だ。アドボケイト(意見表明支援員)が施設や里親を訪ねる取り組みは、既に他県で行われている。
児相は措置解除の判断ができる。報告書から今回の場合、実親側の自治体が受け入れを拒絶していた。実親が引き取りたいと仮に言っていたとしても、困難な状況だったと推測する。だとすれば何のために里親委託解除をしたのか、県には説明責任がある。
(臨床心理学)