辺野古承認取り消し、国交相が是正指示 知事は拒否


この記事を書いた人 志良堂 仁

 【東京】米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設計画で、石井啓一国土交通相は9日、翁長雄志知事に対し辺野古沖の埋め立て承認取り消し処分の是正を指示する文書を発送した。文書到着翌日から3日以内に指示に従うよう求めている。県に10日に届いた場合は13日が期限になる。指示に従わなかった場合、国は16日以降にも高等裁判所に提訴する。

 翁長氏は9日午後、県庁で記者団に対し「前回話した通りの認識を持っている」と述べ、是正勧告と同様に国交相の指示を拒否する考えを示した。
 指示は国交相が知事の代わりに承認取り消しを是正し、埋め立てが「承認」された状態に戻すための地方自治法に基づく代執行手続きの一つ。知事が是正勧告を拒否したため行われた。知事は是正指示も拒否する構えで、指示に従わなければ国交相は代執行の手続きを進めるために高裁に提訴する方針だ。
 高裁は提訴から15日以内に第1回の口頭弁論が開くため、早ければ12月初旬にも県と国の関係者が法廷に立つ見通しとなっている。
 知事は6日、「取り消しは適法」として勧告を拒否する旨の文書を国交相へ送っていた。
 同時に発送した公開質問状について国交省は「13日までに回答するよう求められている。現在内容を確認している」として、質問に回答するかは明らかにしていない。
 菅義偉官房長官は9日の会見で、知事が是正指示に従わなかった場合の高裁への提訴について「仮定のことについては控えたい」と述べるにとどめた。一方、仲井真弘多前知事の埋め立て承認に関しては「瑕疵(かし)がないという立場は変わらない」と手続きの正当性を強調した。