南西石油社長、県に販売停止を説明 雇用対策は言及なし


この記事を書いた人 志良堂 仁
沖縄総合事務局を訪れた南西石油のリンコン・シオジロ・イシカワ社長(左)ら経営陣=9日午後2時半、那覇市おもろまちの那覇第2合同庁舎

 石油販売の南西石油(西原町)のリンコン・シオジロ・イシカワ社長ら経営陣が9日、県庁や沖縄総合事務局を訪れ、来年3月31日までで県内取引先への石油製品販売を打ち切ることを正式に報告した。

 親会社のブラジル国営石油会社ペトロブラスは当初、南西石油の全株式を新たな経営者に売却し、事業を譲渡した上で日本から撤退する方針を示していた。この日の面談で事業譲渡の進展や雇用について明確な説明はなかった上、「財政負担が厳しくなっており、撤退について早急に判断しないといけない」と伝えたという。
 これに対し県の下地明和商工労働部長は「南西石油には安定供給の責務がある。無責任に撤退することは理解できない。沖縄でのエネルギー供給に責任を持ってほしい」と申し入れ、事業継承のめどがつかない中で撤退の期限を設ける対応に強い不快感を伝えた。県は今後、国に南西石油との協議状況を確認するなど対応を急ぐことを決めた。
 南西石油は、現状の販売価格では採算が合わず財務負担が増しているとして、県内企業に卸売り価格の値上げを求めた上で「ペトロブラスの指示を仰ぎながら、資源エネルギー庁と撤退の計画を進めていく」と話したという。
 県側が「県内の零細業者が独自で元売りを探していくのは困難だ」と来年4月以降の供給体制に懸念を示したのに対し、南西石油側から「事業者が連携して元売りから買えばいい」との返答があったという。下地部長は「南西石油は約40年間、県内の業者に対し石油製品を販売してビジネスをしてきた。(3月まで)あと数カ月の中であり得ない発想だ」と反発した。
 同席した南西石油の橋本陽一環境安全マネジャーは琉球新報の取材に「コメントはできない。近くプレスリリースを出す」と話した。