返還合意から10年経過も、実績わずか6.9% 嘉手納より南の米軍基地統合計画 県内移設の条件付けられ進まず


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米軍普天間飛行場(資料写真)

 日米両政府が2013年4月に嘉手納より南の米軍施設・区域約1048ヘクタールの返還・統合計画に合意してから5日で10年を迎えた。防衛省によると、既に返還されたのは73.1ヘクタールで、計画全体に占める割合は6.9%にとどまる。既に、最短で「22年度」とされた返還期限を過ぎた普天間飛行場や陸軍貯油施設第1桑江タンクファームを含め、移設条件が付された施設で返還が実現した地区はほとんどなく、今後も計画の遅延が見込まれる。

 返還時期は3年ごとの見直しが規定されているが、これまでに見直された例はない。

 返還地の内訳は統合計画で移設条件が設けられず手続きの完了後速やかに返還とされた地域が65ヘクタール、国道58号拡幅工事に伴うキャンプ・キンザーの先行返還地が4ヘクタール、宜野湾市道11号の整備に伴う普天間飛行場の東側4ヘクタールと佐真下の0.1ヘクタール。

 松野博一官房長官は5日の会見で「地元から要望の強かった一部区域について前倒しで返還を行った」と政府の取り組みを強調した。今後の区域についても取り組みは着実に進めているとし「今後も目に見える形で沖縄の負担軽減を実現するため、沖縄統合計画を着実に実施する」と話した。
 (知念征尚、明真南斗)