ヘリ、不明直前に下地島管制と口頭やりとり 師団長ら8人幹部が搭乗 


この記事を書いた人 琉球新報社
周辺海域で行方不明となっている自衛隊員を捜索する海上保安庁の巡視船「はりみず」と自衛隊機とみられるヘリコプター=7日午前8時12分、宮古島沖(第11管区海上保安本部提供)

 6日に宮古島市沖の洋上で陸上自衛隊のヘリコプターの行方が分からなくなった事故で、レーダーからヘリの機影が失われた6日午後3時56分の2分前に、下地島空港の管制との間で口頭でのやりとりがあったことが7日、分かった。当該ヘリが事故前の4日に航空自衛隊那覇基地に飛来していたことも判明。レーダーから機影が消えた地点について陸自は6日に発表した位置を7日に修正し、伊良部島から北に約3キロの地点を示した。自衛隊や海上保安庁は7日から8日にかけても夜通し搭乗していた隊員の捜索を続けた。

 防衛省の青木健至報道官は7日の定例会見で、搭乗者10人の所属内訳を第8師団司令部が師団長を含む5人、第8飛行隊4人、宮古警備隊1人と明らかにした。関係者によると、坂本雄一第8師団長(55)ら8人の幹部が含まれている。周囲の管制や船舶は救難信号を受信していない。

 防衛省は7日、陸上から捜索する人員を当初の約20人から200人以上に増やし捜索態勢を強化した。海底の捜索に向け掃海艇1隻も追加した。県警はレスキュー部隊を派遣した。宮古島署は対策室を設置し、約30人態勢で情報収集や沿岸部の捜索を始めた。捜索活動の指揮を執る宮古島海上保安本部の山添岳大警備救難課長は「人命につながる手がかりは発見できなかったが、全力で捜索していく」と報道陣に説明した。

 陸自によると、行方不明のヘリは4日、給油などのため、所属する熊本県の高遊原分屯地から空自那覇基地に飛来し、6日に那覇から宮古に入っていた。飛行前後の点検や、3月末に実施した詳しい点検でも異常は見つかっていなかった。 

 不明者の捜索が続いている海域では、7日までに8人乗りの救命用ボート2艇が見つかっているが、折りたたまれたままで、使用された形跡はなかった。第11管区海上保安本部は7日、「陸上自衛隊」と書かれたヘリのドア1枚と、回転翼の一部を回収し、写真を公表した。機体の一部などは割れたような跡があった。

 玉城デニー知事は7日、報道陣に「人命が第一だと考えており、搭乗者の安否を大変憂慮し、無事を祈っている。県としても引き続き情報収集に取り組む」と話した。 (明真南斗まとめ)