「香りで体調悪化」634人 化学物質過敏症で県立中学校調査 「香りで悩む人いる」県教委が配慮呼びかけ


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 「香りで悩んでいる人がいるかも」。県教育委員会が県立高校と特別支援学校、県立中学校を対象に実施した調査で、95校中51校の計634人が、化学物質や香りで体調が悪くなったことがあると回答した。

 微量の化学物質が原因で頭痛や感覚異常などさまざまな症状が現れるとされる「化学物質過敏症」。調査は生徒の経験を聞いたもので、化学物質過敏症と診断された生徒がいたかは不明だ。県は、化学物質や香りで悩む人がいることを周知するため症状や原因などについて発信し、香りが過度にならないよう配慮を呼びかける。

 調査結果は、3月23日の県議会文教厚生委員会で、保健体育課の担当者が瀬長美佐雄氏(共産)に説明した。

 内訳は県立高校630人、特別支援学校4人、県立中学はゼロ。県教委は2022年度から、健康診断前に生徒が記入する保健調査票に、化学物質や香りで体調が悪くなったことがあるかを尋ねる項目を設けた。

 昨年8月に初めて調査し、現在は学校の養護教諭や管理職向け研修会で症状などを周知する。

 県保健医療部によると、化学物質過敏症は診断基準や治療法は確立されておらず、県内の患者数は分かっていない。柔軟剤や香水、たばこ、洗剤、塗料など身の回りにある化学物質が原因となり得る。

 頭痛やめまい、下痢や不眠など症状もさまざまで、誘発させると考えられる原因物質を避けることが有効な対処法だとして、県はホームページやポスターなどで県民の理解と協力を求めている。 (吉田早希)

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