〈145〉飲酒量を計算 沖縄は全国平均の18倍も


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 お酒が好きな方に質問です。1日どのくらいのお酒を飲みますか。食事にカロリーという物差しがあるように、お酒にもドリンクという物差しがあります。ビール1本は2ドリンク、泡盛1合は4ドリンク。他のお酒は図の通りです。普段の飲酒量を計算してみましょう。

 2ドリンク以下だった方、適度な飲酒量です。4ドリンクを超える方、糖尿病や高血圧、脂質異常症といった生活習慣病の危険が高くなります。6ドリンクを超える方は、多量飲酒といって、このまま続けると肝硬変や依存症など「お酒を止めなければいけない体」になってしまう可能性があります。

 「周りはもっと飲んでいる」。そんな声が聞こえてきそうですね。実際にはどうなのか、沖縄県による調査が2016年に行われました。その結果によると、通常の飲酒量が10ドリンクを超える「超」多量飲酒の方が、男性は30%、女性は14%でした。これは全国平均のなんと18倍です。そう、確かに周りもたくさん飲んでいるのです。これは沖縄県だけの特徴です。

 県外出身の私は、沖縄に来てウチナーンチュの飲酒量に驚きました。最初は「多量飲酒に耐えられる頑丈な体なのではないか」などと思ったこともあります。しかし医師として働いていると、決してそんなことはないと、すぐに気づきました。

 肝疾患の年齢調整死亡率は沖縄県が全国ワースト1位で、肝硬変の原因はアルコールがダントツです。アルコール依存症が疑われる方の割合も高く、沖縄県は全国平均の約3倍です。たくさん飲酒している分、たくさん体を壊しています。

 お酒が好きな方ほど、お酒を飲めない体になってしまうのはつらいものです。今後もおいしいお酒を長く飲み続けられるように、お酒を減らしてみることをお勧めします。

 まずは「1日1ドリンク減らす」もしくは「休肝日を週1日増やす」。無理せずできそうな方を一つ選び、今日から始めてみてはいかがでしょうか。

(手塚幸雄、沖縄リハビリテーションセンター病院 精神科)