【識者談話】伴走型の支援が重要 子どもの視点で問題共有を 沖縄県ヤングケアラー実態調査 名城健二・沖縄大教授


社会
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名城 健二教授(沖縄大学)

 家族の世話をすると回答した児童生徒が全てヤングケアラーではないが、その時間が3~7時間、7時間以上となると、学校以外では常に世話をしていることになり、支援を要するケアラーと言える。私の研究では、親の障がいや精神疾患などにより、小学生が幼いきょうだいの子守をして学校に通えない事例もある。

 こうした子どもたちが、大変な状況を周囲の大人に相談していいと気付いてもらう意味では、ケアラーの認識を普及していくべきだ。相談窓口としては学校の認知度が最多であることから、アンケートなどで声を拾い、関係機関につないでほしい。

 一方で「相談しても状況が変わるとは思わない」と諦めに似た回答が多いことが示すように、支援により家庭の事情が急速に改善するわけではない。だからこそ伴走型支援が重要だ。

 ヤングケアラーや貧困などの問題は世代間で連鎖しやすい。また、困難を抱える家庭の子どもが自分を客観視して将来を見通すことは容易ではない。支援者は家庭の問題を子どもの視点で共有しつつ、子ども自身が未来を開拓する方法も共に考えていく必要もあるだろう。

 周囲の大人は特別視しすぎず、声掛けや見守りによって「あなたは一人ではないよ」という気持ちを示してほしい。将来、その子が「身近に気に掛けてくれる大人がいた」と思い出してくれれば、支援が形を成したと言えるのではないだろうか。
 (精神保健)


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