沖縄のヤングケアラーを約7450人と推定 県が実態調査 約2450人は学業・生活に影響、支援急務


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県ヤングケアラー実態調査の結果を発表する玉城デニー知事=14日、県庁

 沖縄県は14日、県内の小学5年生から高校3年生までを対象にした県独自のヤングケアラー実態調査の結果を発表した。家族の世話を「週3日以上」または「週2日以下だが1日当たり3時間以上」行うヤングケアラーと思われる児童生徒が5.5%(約7450人)いると推定した。1.8%(約2450人)は学業や生活に影響が出ており、支援が急がれる対象としている。

 玉城デニー知事は14日の会見で、調査で把握した児童生徒の成育環境について、「必要なサービスが届けられていなかった実態があり、衝撃的な数値と言える。支援につなげる取り組みを急がねばならない」と述べた。今後、市町村と連携し、各種施策を検討していく考えを示した。

 調査は2022年9~10月に小学5、6年生から中高校生13万6065人を対象に、ウェブ形式などで実施した。回収した5万5293人のうち、調査に協力する意向を示した4万7180人の回答を分析した。

 世話をする家族がいるのは、小学生が1584人(13.1%)、中学生が1830人(11.5%)、高校生は1630人(8.5%)だった。世話の対象で最も多いのは小学生がきょうだい、中高生は母親だった。

 世話の頻度は「ほぼ毎日」が小学生32.6%、中学生28.9%、高校生28.7%で、「週3~5日」はいずれも約16%前後だった。平日の世話時間は3時間未満が約30~40%で、3~7時間未満は約12~16%、7時間以上は3%台だった。3時間以上の世話は休日になるほど増える傾向がある。

 世話をしている児童生徒の2割以上が心身に負担を感じると答えており、世話の時間が長いほど学校の欠席や遅刻、授業中の居眠りなど、学業にも影響が出ている。
(嘉陽拓也)


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