「自分の時間ない」「家が気になり落ち着けない」学費や健康への不安も 生徒・児童の回答から 沖縄県ヤングケアラー実態調査


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 県のヤングケアラー実態調査による児童生徒の負担感の分析では、世話の時間と健康状態や学校の出席状況、遅刻早退状況を比較している。平日の世話が「7時間以上」と答えた高校生では、世話をしない人と比べ、健康状態が「良くない」は約7倍、「欠席する」が約2倍、「遅刻早退する」が約3倍に上った。小中学生でもそれぞれ2倍以上の差がある。

 授業中の居眠りや提出物の遅れ、宿題ができないなどの影響もあり、「家のことが気になって落ち着けないことが多い」気持ちも高い。

 中高生になるほど、「自分のために使える時間がない」だけでなく、学費や家族との関係への悩みも増していた。

 負担感や不安感の結果、世話時間が長いほど、進路希望を「大学・大学院まで」とする割合が減っていくなど、将来の進路選択にも影を落としている。

 家族の世話をしている児童生徒のうち、小学生20.2%、中学生18.2%、高校生22.4%が「やりたいことができない」と回答している。内訳では、小中高生いずれも「自分の時間がとれない」が7.9~10.2%と最多で、睡眠時間や勉強時間の不足、友人と遊ぶことができないとの回答が目立った。県では、悩みを相談できる既存の支援策に加え、本年度中にヤングケアラー向けのオンライン相談窓口を設けるなどの施策を強化する予定だ。県青少年子ども課に配置したコーディネーターを軸に研修機会を増やし、認識の普及を推進する。宮平道子子ども生活福祉部長は「支援が必要な子どもを発見し、福祉などの関係機関連携が取れる体制作りのスタートとしたい」と話した。
 (嘉陽拓也)


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