県のヤングケアラー実態調査で、日常的に家族の世話に追われる子どもたちが健康面や学業面で悩み、進路選択にまで影響を及ぼすことを数値化した意義は大きい。
特に「支援が急がれる」とされた推定約2450人の背景には、沖縄特有の貧困問題もあるとみられる。一方で、識者によると経済苦や親の病気などの要素がなくても、両親が共働きで忙しく、きょうだいが多いとケアラーと判断される事例もあるという。
個々の家庭状況は見えづらく、子ども自身が家族の心身の病気や経済的な苦しさを家族以外の大人に発信することは容易ではない。学校は相談先としての認知度が高く、スクールソーシャルワーカーの役割も重視される。関係機関など周囲の大人も理解を深め、子どもが相談しやすい環境を作る必要がある。
今回、調査協力を得た回答率が34.7%にとどまった点は課題と言える。調査対象や手法は異なるが、対策の先進地である埼玉県や山梨県などが行った調査の回収率は8割を超えている。支援を必要とする声を取りこぼさないためにも、学校現場の負担に配慮しつつ、調査の回収率を上げる手だても必要だ。
(嘉陽拓也)