宮古島での牛の食肉処理、来週にも再開 JAと食肉センター「技術者呼び寄せる」と説明 農家は不安や怒り隠さず


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宮古食肉センターで牛などの大型家畜がと畜できなくなった経緯などを説明する職員ら=19日、宮古島市のJAおきなわ宮古地区本部

 【宮古島】JAおきなわの関連法人の宮古食肉センターで牛や馬の大型家畜のと畜ができなくなっている問題で、八重山や本島の技術者が同センターに週2回来ることで、早ければ来週にも同センターで大型家畜のと畜が再開される。同センターとJAおきなわが19日、宮古島市のJAおきなわ宮古地区本部で地元農家に向けた説明会を開いて明らかにした。

 説明会では、同センターでと畜できなくなった事態への不安や怒りの声が農家から上がった。農家の男性から「3月末に予定していた牛1頭のと畜ができず、代替として石垣から牛1頭の肉を購入し、取引先に渡した。この損失はどうするのか」との質問が出た。同センターは「内容を確認し、対応を精査したい」と述べるにとどめた。

 宮古食肉センターによると、これまで大型家畜のと畜を担ってきた嘱託職員との雇用契約が更新されず、3月中旬から同センターで牛のと畜ができなくなっていた。対応策として、本島の県食肉センター(南城市)への移送を4月11日から実施。13日にと畜し、市内に送った。これまで移送したのは宮古牛5頭と経産牛3頭の計8頭。

 説明会で、宮古食肉センターの担当者は「生産者や取引先、消費者、関係者の皆さまに迷惑と心配をかけた。おわび申し上げる」と謝罪した上で「移送や技術者を呼び寄せてのと畜に関して、地元農家に負担が出ないように進めたい」と説明した。県畜産振興公社の補助金を活用することなどを検討しているという。

 同センターは現在、大型家畜のと畜技術を学ばせるため、職員3人を県食肉センターに派遣して研修を受けさせている。職員は、加工などを前提とした乳牛のホルスタイン種や経産牛でと畜を学んでいるが、技術習得までに3カ月ほどかかるという。
 (友寄開)