24年春卒業の学生に見る「今の就職観」 安定重視?コロナ前に比べ転職への関心は低下 求人おきなわ調査


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 学生の就職活動調査「アグレ新卒」を企画運営する求人おきなわ(那覇市、山城正文社長)は19日までに、2024年卒業生の調査結果をまとめた。「今の就職観」について、新型コロナウイルス感染症が本格流行する前の20年卒では転職への関心が高い傾向にあったが、コロナ禍を経験した24年卒は「一つの企業で定年まで働きたい」との回答が30.9%と最も多かった。コロナ禍で広がった離職への不安が就職観に反映されたとみられる。

 「定年まで働きたい」は20年卒で29.0%だったのに対し、24年卒は1.9ポイント増の30.9%だった。「他に魅力的な企業があれば転職したい」は20年卒で33.1%と最も多かったが、24年卒は7.9ポイント減の25.2%で、「定年まで働きたい」と順位が逆転し2番目に多い回答だった。「最低でも3年以上は働きたい」も同1.8ポイント増の24.4%となり、安定志向の高まりがうかがえた。

 求人おきなわの担当者は「コロナ前は就活の段階から転職に意欲的だったが、不安定だったコロナ禍を経験した今の学生は安定を求めるマインドになっているのだろう」と分析した。

 就職活動の開始時期は卒業年度に入る前の「23年1月以前」が最も多く81.5%を占めた。企業の採用広報解禁時期前に動いた学生は、前回(23年卒)調査より9.5ポイント増加して9割を上回った。企業側が早期から情報発信を図ることで学生との接点が増えたほか、学生側で情報入手の方法が多様化し、前回に続き早期に応募.選考に進む傾向が目立った。

 調査は24年3月に卒業予定の新規学卒者(大学・専門学校など)を対象に1月から3月にかけて3度実施。アンケート用紙を配布し計152人から回答を得た。
 (謝花史哲)