インボイス制度は経営上の「問題」 沖縄県内企業の4割超が回答 建設や情報業で不安強く 海邦総研


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 海邦総研(新垣学社長)は19日、県内企業に実施したインボイス(適格請求書)制度への対応に関する調査結果を発表した。10月からの制度施行が経営上の問題になるかとの問いに7.9%が「深刻な問題だ」と回答し、「どちらかというと問題だ」(34.9%)を合わせると「問題だ」と捉えている企業は42.8%を占めた。特に建設業や情報通信業、卸売・小売事業で合計割合が5割を超え高かった。

 インボイス制度施行により懸念される事項については、「取引先が免税事業者のため、自社の仕入税額控除できない」が41.8%で最も多く、次いで「取引先が免税事業者であることに起因する取引取りやめ」が21.4%だった。

 調査は3月に郵送とインターネットで実施し、378社から回答を得た。インボイス発行の登録申請については、課税事業者のうち「申請した」が85.6%、「9月末の)期限までに申請予定」が8.5%だった。一方、売上高1千万円以下の免税事業者は「申請した」が11.1%にとどまり、「申請予定」は44.4%となっている。

 10月以降、インボイス発行事業者が登録していない免税事業者と取引する場合は、消費税を支払っても自社の仕入れ税額として全額控除できなくなる。そのため免税事業者が取引から外されてしまうなどの懸念がある。

 制度開始後の免税事業者との取引方針に関する質問では、「決めかねている」が31%、「分からない」が21.2%と、現時点で対応が不透明な企業が目立つ。「免税事業者と取引するのは難しい」との回答も9.3%あった。海邦総研は、「両者の間にこれまでなかった垣根をつくってしまうことが懸念される」と指摘した。(當山幸都)