琉球独立学会、辺野古やPFAS問題を国連で訴え 先住民族問題の常設フォーラムに単独で初参加 声明文発表


この記事を書いた人 琉球新報社
国連の先住民族問題に関する常設フォーラムで、辺野古新基地建設やPFASの深刻な汚染への懸念を訴えるアレクシス大城さん(前列左から2人目)=19日

 17日からニューヨークの国連本部で開かれている先住民族問題に関する常設フォーラムで現地時間の19日、琉球民族独立総合研究学会が、辺野古新基地建設と有機フッ素化合物(PFAS)問題についての声明文を発表した。同学会として単独でフォーラムに参加し発表するのは初めて。現地の18日にはPFAS問題に関するサイドイベントも初めて主催した。

 琉球民族独立総合研究学会のアレクシス大城(うふぐしく)さん(27)=米国カリフォルニア大学サンタクルーズ校大学院生=は辺野古新基地建設について、県民投票で70%以上が反対票を投じたと説明。それでも建設を続ける日本政府と米軍は「先住民族の権利に関する国連宣言」の多くの条項を侵害していると指摘した。戦没者遺骨が埋まる南部土砂を使う計画にも触れ、辺野古新基地建設は、自己決定権を定めた宣言の第3条や、遺骨の返還などを定めた第12条に違反すると訴えた。

 大城さんは「日本と米軍に二重に植民地化された結果、他の多くの問題を引き起こしている。PFASは複数の軍事基地から漏れ出し、長期的な人体への蓄積による深刻な健康被害が懸念される」と述べた。

 その上で、常設フォーラムが琉球民族独立総合研究学会と日本政府代表部との面談を設定すること、米国防総省が沖縄の米軍基地で行った地下水の調査結果を公表すること、日米両政府が国連特別報告者の報告書勧告に留意し安全な飲料水へのアクセスを直ちに提供することなどを求めた。

 今回の第22回先住民族問題に関する常設フォーラムには1千人以上の参加が見込まれている。世界人権宣言の採択から75年の節目で、先住民族の権利を保護する緊急の必要性を強調する機会となっている。(中村万里子)