「台湾有事」想定で沖縄経済界が動く 従業員の避難や事業継続の研究へ新チーム 県に提言も


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「台湾有事」にいかに備えるか話し合う特別チームの編成を発表する渕辺美紀代表幹事(左)と川上康代表幹事=20日、那覇市の沖縄ハーバービューホテル

 沖縄経済同友会は20日、那覇市の沖縄ハーバービューホテルで第44回通常総会を開き、台湾有事に備え、危機管理の観点から事業継続や従業員避難などについて調査研究に取り組む必要性を確認した。新たに特別チームを立ち上げ、年度内に提言書を取りまとめ、県に提出する方針。

 総会では2023年度の事業計画を承認。ロシアのウクライナ侵攻で民間が巻き込まれる事態を目の当たりにし、中国が台湾周辺で軍事演習を実施するなど台湾有事の懸念が出ているなどとして「経済人として安全保障と向き合い問題解決に取り組むべき状況にある」と提起した。

 代表幹事の渕辺美紀(JCC会長)、川上康(琉球銀行頭取)の両氏と副代表幹事4人は再任され、10の委員会の委員長も決定した。それとは別に各委員長と代表幹事らでチームを編成して有事への備えについて議論していく。

 会見した渕辺代表幹事は「リスク管理は事業家として必ずしないといけない。『こうあるべきだ』という結論まで踏み込めるか分からないが、課題だけはたくさん出てくると思う。それをまとめて県に提出し、情報の共有をしていきたい」と述べた。

 川上代表幹事はロシアのウクライナ侵攻でインフラを中心とした事業者が危険にさらされたことを挙げ「何かあったときに従業員の安全をどう確保するか。台湾有事もその観点から考えていきたい」と議論を始める意義を強調した。

 提言書の内容については「問題提起が主になると思う。解決には行政の力がないとできない。いろんなリスクを想定し、場合によっては県、国の議論の材料にしてもらう」と見通した。
(謝花史哲)