重量挙げの第83回全日本選手権大会・第37回全日本女子選手権大会が21日、山梨県の山梨市民総合体育館で始まり、女子55キロ級で、佐渡山彩奈(宮古高―平成国際大出、いちご)がスナッチで日本新記録となる90キロ、ジャークでも大会新記録となる111キロを挙げ、トータル201キロの日本新記録で連覇を飾った。大城朱萌(那覇高―日体大出、鹿児島県スポーツ協会)は6位だった。男子の61キロ級では東京五輪4位の糸数陽一(豊見城高―日大出、警視庁)がスナッチ125キロ、ジャーク149キロ、トータル274キロで、67キロ級と合わせ2階級で9度目の頂点に立った。森田幸司(糸満高―中央大出、丸産業)は5位。55キロ級の知念育利(南部農林高―金沢学院大)は6位だった。
2022年12月の世界選手権では28位と振るわなかった男子61キロ級の糸数陽一。パリ五輪に向けた選手選考が本格化するのは今年5月のアジア選手権からだが、「勝って記録を残さないと後がない」と追い込まれて臨んだ全日本選手権。手にした優勝に、「一歩前進、自信につながった」と声を弾ませた。
22年の7月にけがした右膝を手術した。悪化の恐怖と不安な日々は今も続き、思うような練習もできず、特に世界選手権以降は「きつくて苦しかった」と吐露する。それでも「競技を辞めるという選択肢はなかった。この競技は一人ではできない。周りの支えを改めて確認し、感謝する日々だった」と振り返る。
手術前はスナッチで134キロ、ジャークで160キロほどを挙げていたが、現状はその「6~7割程度」。今回の結果も「決して満足できるものではない」という一方、「練習を積み重ねてきた自信はある。今できるベストを尽くした結果だ」と手応えを口にする。
リオ、東京五輪とも連続出場を果たしたものの、いずれも4位と涙をのんだ。競技人生の集大成とするパリ五輪では悲願のメダル獲得を狙う。
「これから予選会が続く。けがを治しつつ、一つ一つ記録を積み重ねていき、世界で再び戦えるようにしたい」と9月の世界選手権、12月のワールドカップを見据えて力を込めた。
(安里周悟)