沖縄の女性たちに焦点、関心呼ぶ 県公文書館で企画展、7月23日まで 米統治下の写真や文書など紹介


この記事を書いた人 Avatar photo 古堅一樹
所蔵資料展「女性たちの沖縄―公文書館資料にみる女性のあゆみ」の来場を呼び掛ける県文化振興会の麻生清香さん=26日、南風原町の県公文書館

 南風原町の県公文書館で開催中の所蔵資料展「女性たちの沖縄―公文書館資料にみる女性のあゆみ」が関心を呼んでいる。近世から現代まで、琉球・沖縄の女性たちがどう生きていたかを所蔵資料で回顧する。

 特に戦後の米施政権下での状況を詳細に伝えており、米兵による性暴力や社会的地位の低さなど、現代にも通底する諸問題を浮き上がらせる内容になっている。

 資料展では文書などの資料48点、写真44点を展示。1947年3月に米軍の指示を受けて沖縄民政府が出した文書では、女性暴行事件が減らないのは住民の自覚や心構えが足りないと批判している。

 70年の女子高生の死傷事件や75年の女子中学生乱暴事件といった米兵による犯罪に関する文書なども展示されている。貧困ゆえに売春をせざるを得ない実態報告もあり、女性に対する不条理があらわになっている。

 一方で、48年に結成された沖縄婦人連合会などによる就業支援や労働環境の改善、売春防止法の立法化など、女性自身が課題解決に乗り出す様子も紹介している。

 公文書館によると、来場者からは女性の置かれた過酷な状況に驚き、そうした状況を懸命に生き抜く女性のたくましさを尊ぶ感想などが寄せられているという。資料展を担当する県文化振興会の麻生清香さんは「女性に関する記録は少ないものの、残っている資料から感じられるものがあればうれしい」と話している。

 7月23日まで。入場無料。問い合わせは同館電話098(888)3877。
(小波津智也)