沖縄県産マッシュルームを初収穫 「新たな名産にしたい」 ワキュウトレーディング社


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県産マッシュルームを収穫するワキュウトレーディング社の高橋和久社長=19日、糸満市真栄里

 マッシュルームの販売や専門レストランの経営を手掛けるワキュウトレーディング(東京、高橋和久社長)が高温・高湿度の沖縄では難しいとされるマッシュルームの栽培を糸満市で始めている。昨年末から試験栽培を始め、今年3月に初収穫。県産の「島人マッシュルーム」として県内スーパーなどで販売している。

 マッシュルームの栽培には細かい温度調整と衛生管理が必要で、沖縄では難しいとされてきた。同社では、機械による温度管理が可能な専用コンテナを使用することで県内での栽培を実現。害虫が入らない設計で、無農薬栽培も可能にした。

 高橋社長は「コンテナ内で栽培することで台風シーズンや夏の暑い時期にも安定して供給ができる。収穫も比較的簡単で、作業時に日差しにさらされることもなく、障がい者や高齢者の雇用にもつなげられる」と話す。

 千葉県で製造した菌床を使用し、植え付けから約20日で出荷する。年6~7回の出荷を見込んでおり、県内のスーパー、レストランへ販売している。今後は海外へも輸出する予定だ。

 15日から仕入れを開始したジミー那覇店では、ブラウンマッシュルーム(100グラム)298円、ホワイトマッシュルーム(100グラム)398円の2種類を販売している。同店の玉木直美店長は「これまでは千葉県産を取り扱っていたが、店舗に届くまで約3日かかり、送料も必要だった。県産マッシュルームは糸満から直送されるので新鮮な状態で提供できる」と評価する。生産者の顔が見える県産の商品を求める客も多く、売り上げも好調だという。

 高橋社長は「県内では1965年に台湾から菌を取り寄せて試験栽培を行ったとの記録があるが、これまであまり栽培されてこなかった。まだ小規模だが、いずれは県産マッシュルームを沖縄の新たな名産にしたい」と意気込んでいる。
 (普天間伊織)