基地面積、本土9割減の現実 沖縄の加重負担半世紀に <記者ノート>


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 数字は雄弁だ。日本が沖縄を含む南西諸島以外の主権を回復した、1952年4月28日のサンフランシスコ講和条約の発効を巡り、2013年に日本政府が「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」を開いてから28日で10年。政府と沖縄との距離の遠さを浮き彫りにした式典の節目を前に、日本にある米軍専用施設の面積を改めて調べた。

安里 洋輔(東京報道グループ)

 防衛省や米国民政府(USCAR)の資料などを元に県知事公室基地対策課が集計したものを参照した。統計によると、本土では、1952年時点で、日米地位協定に基づき米軍が使用する施設・区域(専用施設)の総面積は13万5263ヘクタールだった。その後、返還は順調に進み、2021年には7810ヘクタール(52年時点から94.3%減)と大幅に減少した。

 一方、沖縄はどうか。

 米軍統治を脱却し、沖縄が「主権」を取り戻したのは72年。この時点で、沖縄の米軍専用施設の面積は2万7892ヘクタールで、本土は1万9584ヘクタール(同85.6%減)。基地の負担割合は沖縄58.7%、本土は41.2%だった。すでに本土よりも負担割合は多かったが、そこから基地の押しつけは加速度的に進む。

 復帰から4年後の76年には、沖縄の負担割合は73.9%(総面積2万6067ヘクタール)に及び、85年には75%(同2万4861ヘクタール)にまで達した。「7割負担」は恒常化し、2021年時点でも70.2%(同1万8483ヘクタール)。過重な負担は半世紀に及んでいる。

 総面積だけを見れば確かに返還は一定程度進んでいる。だが、本土とは対照的にその速度は鈍い。復帰後の面積減少率は33.8%にとどまる。9割の基地がなくなった本土との差は歴然だ。なぜ沖縄ばかりが割を食うのか。この不条理を放置する限り、県民から「屈辱の日」の記憶が消えることはない。