赤ちゃんの健やかな成長を願う 女性が主役の「宴」も 渡嘉敷島で伝統の「浜下り」 重箱囲み笑顔


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
渡嘉敷区の浜下り行事で赤ちゃんの健やかな成長を願う家族ら=23日、渡嘉敷港旅客待合所広場

 【渡嘉敷】渡嘉敷村渡嘉敷区(知念優区長)主催の伝統行事「浜下り」が旧暦の3月3、4日に当たる4月22、23の両日、同区で行われた。

 旧暦3日は、仏壇を持つ各家庭では三月節句を祝って家族の健康を祈願し、前年3月以降に子どもが誕生した世帯では、ごちそうを重箱に詰め、仏壇に供えて子どもの健康祈願である初重(ハチウジュー)を祝った。この日は、島の各海岸では住民や観光客らが潮干狩りを楽しむ光景が見られた。

 旧暦4日に当たる23日は、コロナ禍で中止になっていた渡嘉敷港旅客待合所広場での浜下り行事を4年ぶりに開いた。子どもからお年寄りまで100人余が集い、イナグヌショウガチ(女の正月)といわれる「三月遊び(あしび)」を開き、各自持参した酒やごちそうを囲んだ。女性が主役の祝宴で親睦交流を図りながら楽しいひと時を過ごした。

 島に赴任した学校教職員、各種団体などの新任職員らの紹介もあった。歌、三線やカチャーシーで盛り上がった。

 元村長の座間味昌茂さん(82)は「区3大行事の一つで、かつては区民総出での大きな祭りだった。島を愛し区民の心を一つにする大事な行事なので永遠に継続してほしい」と語った。

 座間味幸子さん(88)は「島人が年に一度、一堂に集まり歌い踊ったりして楽しむので毎年参加している。健康の証しの場でもある」と声を弾ませた。

(米田英明通信員)