琉球王朝の逸品から軽石まで 新収蔵品展始まる 沖縄県立博物館・美術館


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「朱漆牡丹唐草沈金御供飯」(左)と「朱漆獅子牡丹沈金食籠」(右)を鑑賞する来場者=28日、那覇市の沖縄県立博物館・美術館

 沖縄県立博物館・美術館の新収蔵品展が28日、那覇市の同館で始まった。6月4日まで。2021~22年度に収蔵した資料394点のうち、102点を展示している。王国時代の漆器「朱漆牡丹唐草沈金御供飯(しゅうるしぼたんからくさちんきんうくふぁん)」「朱漆獅子牡丹沈金食籠(しゅうるしししぼたんちきんじきろう)」などの貴重な資料を紹介している。

 御供飯は王家で使用された6本脚のふた付き足高盆で、現存が確認されるのは4例目となる。今回収蔵したのは16世紀の御供飯で、2番目に古いという。17世紀の朱漆獅子牡丹沈金食籠は、似た例のない卵形の5段食籠。王国時代の記録に卵形の食籠が描かれているが、実物の確認は初めてという。両資料は古美術店から購入した。

 そのほか、現存する物では最も古い1825年の胴が付いた三線や、沖縄戦で米国に持ち出され、琉米歴史研究会の交渉によって返還された釣り鐘や大黒像なども展示している。

 開幕の式典では里井洋一館長と資料の寄贈者らがテープカットをした。小笠原諸島付近の海底火山から漂着した軽石を寄贈した中島求もとむさん(12)は「みんなに見てもらえてうれしい。軽石について知ってほしい」と話した。里井館長は「資料を生かして研究を深めていく」と述べた。
(伊佐尚記)