「戦争回避へ団結を」 台湾・沖縄の連携確認 識者ら議論 那覇でシンポ


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沖縄台湾対話シンポジウムで、「台湾有事」を避けるための方策について話す登壇者ら=29日、那覇市泉崎の琉球新報ホール

 「台湾有事」の回避を目指すシンポジウム(「台湾有事」を起こさせない・沖縄対話プロジェクト主催、琉球新報社共催)が29日、琉球新報ホールで開催された。沖縄と台湾双方からジャーナリストや研究者、市民ら5人が登壇し、「台湾と沖縄が団結し、戦争を避けよう」と、両地域の連携を強める重要性を確認した。

 基調講演した香港メディア「香港01」駐台湾首席記者の張鈞凱氏は、米シンクタンクが1月に公表した台湾有事を想定した机上演習の報告書に触れ「西側の(勝つか負けるかの)ゼロサムゲームの思考パターンが見て取れる」とし、これが中国の勃興に対する憤りと焦り、恐怖を感じる一因になっていると指摘した。

 西側のこうした思考方法が平和解決の道筋を見えにくくしているとして、相互交流による解決の重要性を指摘した。

 出版社で編集者を務める張智琦氏は過酷な沖縄戦や米軍基地被害の経験こそ「台湾が学ぶべきことだ」と話した。

 香港理工大助理教授の李鎮邦氏は防衛力強化を進める日本について、国債残高や高齢化といった問題を挙げ「大規模戦争に対応する能力は皆無。合理的な政策判断をしているとは言いがたい」と疑問視した。

 石垣市住民投票を求める会の宮良麻奈美氏は防衛力強化を主張する保守系政治家や一部メディアの報道が「トラブルの発生源となり、いつか台湾に迷惑をかけないか不安だ」と語り、日本の空気感に警鐘を鳴らした。成蹊大アジア太平洋研究センター主任研究員の小松寛氏は、県が立ち上げた地域外交室の役割を念頭に「軍拡競争ではなく、軍備管理、軍縮こそが重要だとする国際世論の形成を目指すべきだ」と訴えた。

 沖縄対話プロジェクトによるシンポは2回目。 (知念征尚)