「女の正月」伝統の浜下り 住民と観光客ら150人がハナリ島に渡る 阿波連区「心をつなぐ大事な行事」 沖縄・渡嘉敷


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渡嘉敷村のハナリ島

 【渡嘉敷】渡嘉敷村阿波連区(平田春吉区長)主催の伝統行事、浜下り(はまうり)が旧暦3月3日に当たる4月22日、同区で行われた。区長らが海の神を祭る拝所のイビガナシで区の発展や区民の健康、安全を祈願した。

 この日は好天に恵まれ、午前11時から、住民や観光客ら150人余が参加し、阿波連ビーチの約1キロの沖合に浮かぶ小さな無人島、ハナリ島に小型船で渡った。干潮時に合わせて潮干狩りや釣りなどを楽しんだ。昼食は区が用意した魚汁やイカスミ汁が振る舞われた。

 地元では昔からイナグヌショウガチ(女の正月)「三月遊び(あしび)」とも言われる。かつては、子どもからお年寄りまで大勢の区民がハナリ島に渡り、重箱に7品のごちそうを供え、航海安全などを祈願した。この日は家事などから解放され、女性が主役になって祝宴を開き、楽しい1日を過ごす。

浜下りで潮干狩りを楽しむ家族ら=4月22日、渡嘉敷村の阿波連ビーチ沖のハナリ島

 同区のハナリ島での浜下りの由来は、久米島の祭祀(さいし)をつかさどるノロ(神女)の君南風(チンベー)が首里に往来する途中に逆風「カジマーイ」(風急変)に遭い、航海できなくなってハナリ島に船をつけて天気が回復するまで洞窟で過ごした。その話を聞いた阿波連区の神女と女性たちが、ごちそうや酒などを持参し、船でハナリ島に渡って歌い踊るもうあしび~(毛遊び)をしてチンベーを慰めた。そこから浜下りが始まったという。

 主催者の平田区長は「毛遊びはなくなったが、先祖から継承され、区民の心をつなぐ大事な伝統行事だ」と意義を語った。

 参加した観光客の川崎可奈さん(24)、松尾千夏さん(24)=東京=は「島のお祭り行事に参加できてラッキーでした」と笑顔を見せた。
 (米田英明通信員)