沖縄県、係争委に審査を申し出 大浦湾のサンゴ移植 農水相の是正は「違法で無効」


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多くのサンゴが生息する大浦湾=2021年9月撮影

 辺野古新基地建設に伴う埋め立て海域の大浦湾側のサンゴ移植を巡り、沖縄県は1日、沖縄防衛局が提出していた特別採捕許可申請を許可するよう県に対して農林水産相が「是正の指示」を出したことを不服とし、総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」に審査を申し出た。玉城デニー知事は、是正の指示は「違法・無効だと言わざるを得ない」とし、審査で「県の正当性を主張する」とコメントを発表した。

 県担当者は、係争委から機会が与えられれば県幹部による意見陳述も行いたい考えを示した。

 係争委は申し出から90日以内に審査することが規定されており、7月末までに判断が示される見通しだ。

 審査は大浦湾側に生息する小型サンゴ類約8万4千群体、ショウガサンゴ8群体と大型サンゴ類21群体の移植を巡って行われるもの。

 今回の申し出で県側は、サンゴの移植は「当該海域に不可逆的な環境変化をもたらす」と指摘。大浦湾側の埋め立て工事を行うために必要な軟弱地盤の改良に伴う設計変更申請を県が不承認としたことから「事業を完遂しうる状況になく、同事業のためにサンゴ類を移植する必要性が認められない」などとした。
 (知念征尚)