JTAが3年ぶりに黒字転換 純利益8900万円 全国旅行支援などで需要が回復 旅客数95%増の238万人 23年3月期


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3年ぶりの黒字となった2023年3月期業績について説明するJTAの野口望社長=2日、那覇市のJTA本社

 日本トランスオーシャン航空(JTA、野口望社長)が2日発表した2023年3月期決算(速報値)は、純損益が8900万円(前年同期は52億円の赤字)となり、新型コロナウイルス流行前の19年以来3年ぶりの黒字に転換した。売上高は前年同期比91.1%増の361億円(同189億円)、経常利益は1億円(同74億円の赤字)だった。上期は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて需要が伸び悩んだが、下期は全国旅行支援などから需要が回復した。

 旅客数は前年比95%増の238万人(同122万人)と大幅に増加した。23年度はさらなる需要回復が見込まれることから、売上高は31.1%増の473億円を目指す。

 年度初めの計画では、夏季繁忙期にかけて需要が回復し、その後は横ばいに推移すると予測していたが、コロナの影響が長引き、第1四半期(4~6月)で10億円の営業損失を計上。ただ、全国旅行支援が開始された第3四半期(10~12月)は旅客が戻り、8億円の営業利益を計上した。

 全国旅行支援の延長が不透明だった1~2月は客足が伸びなかったが、3月の春休み需要を取り込み、黒字に転換した。

 営業費用は前年比36.2%増の359億円(同264億円)だった。

 燃油の価格高騰や整備費の増加などが影響した。

 23年度は、引き続き物価高騰や為替の影響などで、費用面で厳しい経営環境を想定している。一方、さらなる需要回復を見込み、7月以降は機体を就航機を1機増やして全14機態勢で増便を図ることなどから、売上高は前年比約112億円増の473億円、営業損益は同26億円増の27億円を見込む。

 野口社長は「全国旅行支援の影響などから、ようやく黒字にできて良かった。今後は旅行支援に依存し過ぎず、キャンペーンや那覇―台湾間の国際チャーターなど、自社での需要喚起策などを行っていく」と話した。
 (與那覇智早)