化学物質過敏症「暮らしや生活、奪われている」 学校現場での調査継続訴え 対策センター理事


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化学物質過敏症について説明する化学物質過敏症・対策情報センターの上岡みやえ代表理事

 化学物質由来の人工香料などが原因で体調を崩すとされる「化学物質過敏症」について4月28日、化学物質過敏症・対策情報センターの上岡みやえ代表理事が沖縄県庁で会見を開き、「当事者の苦しみが理解されず、暮らしや生活が奪われている。社会に広く認知されてほしい」と理解を求めた。

 県内では昨年8月、県立学校で、健康診断前に生徒が記入する保健調査票に「化学物質や香りで体調が悪くなったことがあるか」を尋ねる項目を設けて調査した。計634人が「ある」と回答した。実際に化学物質過敏症と診断された生徒がいたかは不明。

 上岡さんは「診断基準も治療法も確立していない。人によって症状の出方や強さが異なることもあり、つらさを理解されにくい。退職を余儀なくされた人もいて、事態はとても深刻だ」と訴えた。上岡さん自身も激しい頭痛や脱力に苦しんだ経験があると説明した。国内で理解が深まり、将来的に診断基準などが確立されることを目指して、「まずは毎年実施される学校の健康診断で、今後も問診に化学物質過敏症に関する内容を盛り込んでほしい。保護者、学校関係者への理解にもつながる」と県に求めた。

(嘉数陽)