「カーリング、沖縄でも人気になって」 ロコ拠点・北海道北見市から沖縄にストーン16個無償貸与 那覇出身・上地さんが橋渡し 13日、南風原で体験会も


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カーリングの指導をする上地雄大さん(手前左)(上地さん提供)

 カーリングのストーンが北海道から海を渡って沖縄にやってくる。北見市の地域おこし協力隊で那覇市出身の上地雄大さん(26)が仲介をして、南風原町のエナジックスポーツワールドサザンヒルへの無償貸与が実現した。同市の常呂町は2022年北京冬季五輪の女子カーリングで銀メダルを取った、ロコ・ソラーレが練習拠点とする。5月と6月には沖縄県で初の体験会や、ロコ・ソラーレによるカーリング教室も予定する。上地さんは「老若男女ができるスポーツなので沖縄でも人気になってほしい」と競技普及に期待を込める。

 県外の医療系大学を卒業し、北見市にあるスポーツクラブに就職した上地さん。クラブにカーリングをしている選手がいて、体の使い方を学ぶために競技に触れた。当初は仕事としてやっていたが、サザンヒルを舞台に描かれた「南風原カーリングストーンズ」が漫画雑誌に掲載されているのを目にした。競技の盛んな北見市で沖縄を舞台にしたカーリング漫画を読んだことに「運命だと思った。(競技を)やらないといけない」と感じた。職場の先輩を誘い、週に1回のペースでカーリングホールに通い、競技仲間を増やした。

北見市地域おこし協力隊員としてカーリングの普及に取り組む上地雄大さん(上地さん提供)

 自身の持っている資格を生かそうと一度、関東へ引っ越した。就職活動をしていたがカーリングのことは忘れられなかった。そのタイミングで、北見市が地域おこし協力隊を募集していることをカーリング関係者から教えてもらう。すぐに応募して採用試験に受かり、再び北見市に戻った。現在はカーリングの普及活動や大会の運営補助を担う。カーリング情報誌「めんそ~れ~」の編集も行い、市内の商業施設などで配布している。

 22年10月に沖縄に帰省し、サザンヒルへ立ち寄った。施設側から「カーリングをしたいが道具の借り方などが分からない」と相談され、北見市に帰ると道具などを準備できるか周囲の人と相談した。

 靴やブラシなどは確保のめどがついたが、最大の課題となったのはストーンだった。1個約20キロで10万円以上する。原材料も貴重で国内生産はされておらず、納期は半年から1年以上もかかるなど、確保が難しかった。そんな中で、20年に営業を終えた河西建設カーリングホールに16個のストーンが保管されていることを知った。上地さんが北見カーリング協会を通じて、同ホールの持ち主に相談し、無償貸与することとなった。同ホールはロコ・ソラーレの藤沢五月や代表理事の本橋麻里さんも練習や大会で使用していた。本橋さんは「使われなくなったストーンがまた使われるのはカーリングをやっている人としてうれしい」と声を弾ませる。

 5月13日午前10時半から、サザンヒルで上地さんのカーリング体験会、6月24日の午前10時と午後2時からはロコ・ソラーレのメンバーによるカーリング教室が予定されている。上地さんは「中学生と高齢者がハンディなしで戦える生涯スポーツの魅力もあるので、興味があれば体験してほしい」と語る。本橋さんは「沖縄の人と一緒にカーリングを楽しみたい。見に来るだけでもいいので足を運んでほしい」と多くの来場を呼びかけた。

 体験会と教室の申し込みや問い合わせはサザンヒル098(888)5858。
 (屋嘉部長将)