ミサイル予定地の埋蔵文化財、防衛省「事前に承知」 陸自与那国駐屯地 配備遅れの可能性は「答えられる段階にない」


この記事を書いた人 琉球新報社
地対空ミサイル部隊の配備に向け、防衛省が施設拡張を計画している陸上自衛隊与那国駐屯地=2017年4月6日、与那国町

 陸上自衛隊与那国駐屯地(与那国町)に地対空誘導弾(ミサイル)部隊を追加配備する計画に関連し、防衛省が駐屯地東側で取得を予定している土地内(18万平方メートル)に埋蔵文化財の「伝サガムトゥ村遺跡」が含まれていることについて、防衛省の青木健至報道官は9日の記者会見で「事前に承知している。施設の整備内容は確定していないが、埋蔵文化財については関係法令に従い適切に対応する」と文化財の存在を認めた。計画への影響については「具体的な配備時期は検討中で、計画が遅れる可能性は答えられる段階にない」とした。

 開発には、文化財保護法に基づき事前の届け出や工事手法次第では発掘調査をそれぞれ必要とするため、配備計画が遅れる可能性もある。
 
 町教育委員会などによると、遺跡は防衛省が取得を予定する土地の北側にある。16~17世紀ごろの集落で、町比川と町久部良を結ぶ道路の南側に位置し、標高約30メートルの場所となる。八重山式土器や外来陶磁器などが見つかっている。

 現在は原野や牧草地となり、保存状態は良好だという。本格的な調査はこれまで実施されておらず、遺跡の正確な範囲も把握できていない。

 埋蔵文化財がある土地として周知されているため、工事をする場合は文化財保護法第93条に基づき、土木工事などをする際は事業者が開発に着手する日の60日前までに、町を通じて県教育委員会に届け出なければならない。

 町教委によると、これまで防衛省・自衛隊側から文化財に関する事前の問い合わせはないという。今後、問い合わせがあった際は町や県を含めて協議が必要となる。

 防衛省は町にミサイル部隊を配備する方針を固めており、これに加え、2023年度末までには電子戦部隊を配備する計画もある。いずれも23年度予算に関係費用を計上している。ミサイル部隊配備に関しては15日午後6時半から町離島振興総合センターで住民説明会が開かれる。
 (照屋大哲、明真南斗)