【識者談話】児童の治療プランを立て、外部の力も入れ検証を 児相職員わいせつ容疑で逮捕 西澤哲・山梨県立大特任教授


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西澤 哲氏(山梨県立大特任教授)

 児童相談所という子どもを守るべき立場の人が加害者となった責任は重大だ。経緯の詳細は分からないが、もし児相が性虐待を疑っていたならば、男性職員を1人で面談に行かせることはまずない。児相として、この事案をどのような事案だと捉え、どのような配慮をして面談を計画したのか、元職員が何を聞き取ろうとしていたのか。被害につながったのだから説明する責任がある。

 何らかの支援が必要とされる子に、被害体験をかぶせた責任は重い。きちんとトラウマ(心的外傷)を扱う心理療法を提供すべきだ。児相の専門性では、治療プランを立てるのは難しいだろう。小児科の専門医などを入れ、治療プランを立てるべきだ。また事件がどうして起きたのか、外部の力も入れてきちんと検証すべきだ。

 職員の行為は言語道断としか言いようがない。今の日本のシステムでは、問題のある人をふるい落とすことができない。昔は長期間の実務経験がないと児童福祉司として採用されず被害が起こりにくかった。しかし今はこの期間がなくなっており、児相の能力が全国的に低下している。
(臨床心理学)