〈147〉おしっこが赤い…!? 重大な病気の可能性


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 「あれ? またおしっこが赤い。でも痛みもないし、前にもあったな。ま、そのうち普通に戻るし気にしなくてもいいか」―。

 おしっこが赤い。これには、重大な病気が隠れている可能性があります。

 血尿と言って尿に血が混じっている場合、細菌が膀胱(ぼうこう)などの尿路で感染を引き起こしていたり、尿路結石が尿路を傷つけて出血していたりすることがあります。この場合、多くは痛みや頻尿といった症状を伴うことが多いですが、そうでない血尿の方が実は怖い…なんてこともあります。

 それは尿路のがんです。特に多いのが膀胱がん。膀胱がん早期発見のサインは目で見て分かる血尿です。この血尿は数日間続くことは少なく、1日で良くなることもあります。また、痛みを伴うことが少ないため、様子見をされる方もよくいらっしゃいます。特に50歳以上で喫煙されている方は要注意。たばこは肺がんだけでなく、膀胱がんの最も大きなリスクでもあるのです。

 血尿が出た場合の検査としてはまず、尿の中にがん細胞が含まれていないかを調べる尿細胞診と、膀胱や腎臓の超音波検査を行います。がんを疑う所見があれば、膀胱の中をカメラで観察する膀胱鏡検査(胃カメラのようなイメージでOKです)や、CT、MRIといった画像検査を追加することもあります。

 膀胱がんは根っこが浅いうちに早期発見ができれば、大きな手術や抗がん剤治療をしなくても治すことができる可能性があります。逆に発見が遅れてしまうと、がんは全身に転移して治すことが難しくなってしまうのです。

 「血尿なんて出たら、すぐに病院行くよ」とお思いの方も多いかと思いますが、実際の外来では「これまでも何度かおしっこが赤くなることはあったけれど、今回はなかなか治らないから受診しました」というお話もよくあります。

 もちろん怖い病気ばかりではありませんが、「おしっこが赤いかも…」と思ったら、まずは泌尿器科の先生に相談してみてくださいね。

(川瀬紘太、沖縄愛楽園 泌尿器科)