南部ごみ処分場の白紙撤回、補助金使えず予定地確保がとん挫 環境アセスの必要性も見落とす 「新たに探す方が期間も経費も削減」


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 【南部】糸満市、豊見城市、南城市、八重瀬町、与那原町、西原町のごみ処理施設の一元化を進めてきた南部広域行政組合(理事長・古謝景春南城市長)は11日、理事協議会を開き、八重瀬町具志頭地区に予定していたごみ焼却施設・最終処分場の建設計画を白紙撤回することを決定した。予定地にある養豚業者の移転費に補助金が使えないことが判明したほか、移転先の環境影響評価(アセスメント)を実施する必要性も見落とし、スケジュール調整が困難になった。

 今後、焼却炉・最終処分場それぞれに新たな用地を探す。

 八重瀬町具志頭地区への建設は、町の誘致で2019年8月に決定した。同地の養豚業者が北部に移転後、跡地の約9.6ヘクタールに新炉と、輪番制で八重瀬町が次期を担う最終処分場の建設を予定していた。先行整備する新炉の建設費は374億円で、当初は2027年度の供用開始を目指していた。

 業者の移転には国補助の活用を見込んでいた。しかし昨年5月に業者が同組合に移転の必要額として66億円を提示して以降、各市町の分担金の軽減策を調べる中で、活用できる補助事業がないことが分かり「各市町の分担金だけでは困難」と判断した。

 移転先で環境影響評価(アセスメント)が必要なことも昨年8月、県の指摘で新たに判明。最短でも4年半を要し、新炉の供用開始が39年度にずれ込むことから、「移転不要な用地を新たに探す方が期間を短縮し経費も削減できる」として白紙撤回を決めた。

 最終処分場を現状担う南城市と次期を担う八重瀬町を除く4市町から、新炉の候補地を8月までに募り、2年後をめどに予定地を決める。

 古謝理事長は「市民の暮らしを守るため、各市町が最大限に受け入れの努力をする必要がある」と語った。
 (岩切美穂)