「いつ壊れてもおかしくない」新たなゴミ焼却炉、待ったなし 沖縄・南部広域行政組合 2037年供用開始を目標 


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2019年に決定したごみ処理施設の建設計画の撤回に向けて話し合う南部広域行政組合の環境衛生関係市町村理事ら=11日午前、八重瀬町の南部総合福祉センター

 【南部】約26万人が暮らす南部6市町のごみ処理を担う、沖縄南部広域行政組合のごみ処理施設建設計画が白紙に戻った。現状の焼却炉2カ所は老朽化が進み、新炉建設は待ったなしの状況だ。供用開始の目標は2037年。同組合は「最短のスケジュールで予定地を選定し整備する」として、前倒しも視野に入れる。

 焼却炉の耐用年数は通常30年。東部環境美化センター(与那原町、供用開始1985年)は38年目で、糸豊環境美化センター(糸満市、同98年)は25年目になる。2カ所で1日当たり約192トン、年間約7万トンのごみを焼却している。同組合は「いつ壊れてもおかしくない」と話す。これまでも修繕や基幹改良を重ねており、新炉完成まではさらなる延命措置が不可欠だ。新炉建設について同組合は、環境アセスメントの行程を効率よく進め、完成までの期間の短縮を図るとしている。

 糸満、豊見城、与那原、西原の4市町に推薦を募る新炉候補地の条件は4ヘクタール程度。今回の白紙撤回を踏まえて、建物の移設が不要な空き地などを求める。受け入れに当たっては、地元への振興策提示も検討する。

 一方、ごみ処分場の誘致を図った八重瀬町の新垣安弘町長は「畜産業者と周辺住民との間には臭気問題があり、地域課題を解決できると手を挙げたが、断念せざるを得ない状況となり残念だ。説明会で住民に経緯を説明したい」と話した。

 最終処分場については、6市町が輪番で担い、33年までは現状の「美らグリーン南城」を使用する。その後、八重瀬町内に次期処分場を建設する。新垣町長は「最終処分場は町内で責任を持って建設する」と話した。

(上江洲仁美)