【南部】約26万人が暮らす南部6市町のごみ処理を担う、沖縄南部広域行政組合のごみ処理施設建設計画が白紙に戻った。現状の焼却炉2カ所は老朽化が進み、新炉建設は待ったなしの状況だ。供用開始の目標は2037年。同組合は「最短のスケジュールで予定地を選定し整備する」として、前倒しも視野に入れる。
焼却炉の耐用年数は通常30年。東部環境美化センター(与那原町、供用開始1985年)は38年目で、糸豊環境美化センター(糸満市、同98年)は25年目になる。2カ所で1日当たり約192トン、年間約7万トンのごみを焼却している。同組合は「いつ壊れてもおかしくない」と話す。これまでも修繕や基幹改良を重ねており、新炉完成まではさらなる延命措置が不可欠だ。新炉建設について同組合は、環境アセスメントの行程を効率よく進め、完成までの期間の短縮を図るとしている。
糸満、豊見城、与那原、西原の4市町に推薦を募る新炉候補地の条件は4ヘクタール程度。今回の白紙撤回を踏まえて、建物の移設が不要な空き地などを求める。受け入れに当たっては、地元への振興策提示も検討する。
一方、ごみ処分場の誘致を図った八重瀬町の新垣安弘町長は「畜産業者と周辺住民との間には臭気問題があり、地域課題を解決できると手を挙げたが、断念せざるを得ない状況となり残念だ。説明会で住民に経緯を説明したい」と話した。
最終処分場については、6市町が輪番で担い、33年までは現状の「美らグリーン南城」を使用する。その後、八重瀬町内に次期処分場を建設する。新垣町長は「最終処分場は町内で責任を持って建設する」と話した。
(上江洲仁美)