与那国島への地対空ミサイル配備を明言 防衛省が住民説明会で 電子戦部隊は年度内に


この記事を書いた人 琉球新報社
地対空ミサイル部隊配備に関する住民説明会で、防衛省関係者(奥)に質問する参加者=15日、与那国町の離島振興総合センター

 【与那国】防衛省は15日、与那国町の町離島振興総合センターで、陸上自衛隊与那国駐屯地への地対空誘導弾(ミサイル)部隊配備計画に関する住民説明会を開いた。将来的に中距離地対空ミサイル(中SAM)を有する高射中隊を配備すると明らかにした。地対空ミサイル配備の明確な時期は示さなかった。

 電磁波を使って相手のレーダーや通信を妨害し無力化する「電子戦」の部隊である第101電子戦隊と第301電子戦中隊、計約40人を2023年度中に配備すると発表した。

 説明会には防衛省の伊藤晋哉防衛計画課長、同省の折戸栄介沖縄協力課長、与那国駐屯地の鵜川優一郎司令、沖縄防衛局の濱和彦企画部長らが出席した。糸数健一町長は欠席した。

 防衛省は、現時点で与那国島は地対空誘導弾部隊が未配備であるため、万が一島に危険が及んだ場合を想定し「空から(他国のミサイルを)打ち落とす手段は必要」として、中距離地対空ミサイル部隊が必要だと強調した。人数など部隊の詳細は「検討中」とした。

 また、地対空ミサイル部隊配備に伴い防衛省が駐屯地東側で新たに取得を予定している用地(約18ヘクタール)については隊庁舎、火薬庫、訓練場、覆道射場(屋内射撃訓練場)を整備する計画を示した。与那国駐屯地の隊員は現在、射撃訓練をする施設がないため、沖縄本島で訓練をしているという。

 参加した住民からはミサイル部隊に賛成の意見もあった一方、「平和に暮らしたいだけだ」などと基地拡張に反対する意見や質問が相次いだ。防衛省は「できる限り生活に影響を及ぼさない限りで部隊を置かせていただきたい」などと答えた。
 (照屋大哲)