将来的な人口減少による公共施設の維持管理費増に備えて、県は「県汚水処理事業広域化・共同化計画」を策定した。汚水処理施設の改築・更新費用や維持管理費の削減に向け、県内88の汚水処理施設のうち、12施設の統廃合を検討している。ただ、下水道の統廃合を進める他県の事例を見ても経費削減効果は一定程度にとどまるため、県は全国よりも低い水準の下水道使用料の値上げも視野に入れる。
2018年に国が都道府県に下水道事業の「広域化・共同化計画」の策定を求めたことを受け、県計画を今年3月に策定した。
今後、県と41市町村でつくる「県汚水処理事業連絡協議会」で統廃合の条件を詰め、20~30年かけて統廃合を完了する計画だ。これから費用対効果などを検証する。
現在、本部町今帰仁村清掃組合が運営する本部・今帰仁し尿処理施設を本部町が運営する町浄化センターに統廃合するなど自治体の垣根を越えた六つの案が上がっている。そのほか同一自治体内での統廃合案も六つある。
県内市町村が2018年度に住民から徴収した1立方メートル当たりの下水道使用料は県平均96.6円だったが、国は150円に引き上げることを推奨している。
県は南部と中部、北部、離島をそれぞれ四つのブロックに分けて、人材育成の共同化や災害時対応の広域化なども進めて経費削減に努める。
県内では、県が人口密集地の中南部で流域下水道事業を実施するほか、糸満市や名護市などが単独で下水道事業を実施する。
県内19の下水処理場のうち、供用から50年以上たつのは約5%、25~50年未満は53%、15~25年未満は37%で、機械電気設備の標準耐用年数の15年を超える施設は全体の95%となる。今後、設備更新費用が重くのしかかる見通し。
県下水道課の担当者は「統廃合案はまだ構想に近く、今後時間をかけて細部を詰めていく。下水事業の維持のため適切な使用料も設定しないといけない」と話した。
(梅田正覚)