【記者解説】電気料値引き支援、10月以降続くか見通せず 沖縄電力


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値上げについて記者会見する沖縄電力の本永浩之社長=16日午後、那覇市のおきでん那覇ビル

 沖縄電力が16日に経済産業省に補正申請した規制料金の値上げ幅は、全国一律や沖縄独自の財政支援により、標準家庭で33.3%から10%程度まで抑えられる見込みだ。企業向けの高圧メニューでも財政支援により値上げ幅は25%前後となる見通しだ。公費負担による値引き支援は「出口」の難しさがあるものの、10月以降もこうした支援が続くかは不透明だ。

 沖縄電力の値上げ幅は全国の電力会社と比べても大きい。16日の物価問題に関する閣僚会議の資料で示された試算によると、同一基準でならした値上げ改定後の電力7社の標準家庭の電気料金は、沖電が最も高かった。

 背景には沖電が抱える実情がある。離島を多く抱え電力系統が本土とつながっていないことや、原子力発電所がなく化石燃料に依存せざるを得ないことから、ウクライナ危機や円安の影響をもろに受けた。

 本永浩之社長は16日の記者会見で、直近の燃料価格は落ち着きをみせつつあるものの、政府や県の支援期間が終わる10月以降の燃料動向は「予断を持つことができない」との見方を示した。

 沖電の財務基盤はひとまず改善に向かう見通しだが、国際情勢など外部要因に左右されない再生可能エネルギーの推進や、経営効率化などは喫緊の課題だ。

 政府や県の支援があるとはいえ、電気料の値上げは家計や企業活動を直撃し、経済活動そのものを停滞させかねない。消費者庁は「丁寧な情報提供と説明」を条件に今回の値上げを容認した。負担を強いられる県民や企業の理解を得るための経営努力が求められる。
 (當山幸都)