バニラ生産で独自技術を開発、販路拡大へ 「洋菓子業界、変わるかも」 ソルファコミュニティ社 沖縄


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
キュアリングされたバニラを持つソルファコミュニティの玉城卓代表とクラブハリエの山本隆夫社長、北中城村の比嘉孝則村長=16日、北中城村

 障がい者就労支援のため県産バニラの生産を手掛けるソルファコミュニティ(北中城村、玉城卓代表)がこのほど、バニラ栽培の種子「バニラビーンズ」を発酵・乾燥させてバニラ特有の甘い香りを出すキュアリング加工で、より高い香りを出す独自の技術を開発した。原料として販売して販路拡大を目指す。国際特許を申請中だという玉城代表は「技術や株を普及させて規模を大きくし、雇用や貧困問題に取り組みたい」と展望を語った。

 栽培開始から6年経過し、バニラが花を咲かせて受粉の時期を迎えたことから16日、北中城村の農場でバニラ受粉式を開催した。

 就労継続支援A型事業所も運営する同社の畑では、障がい者を中心としたスタッフが、毎日1本ずつ栽培している。福祉事業だからではなく、品質の良さで選ばれるものを目指している。同社のキュアリングはバニラの香りが強く出るため、甘い香りがする菓子づくりなどの生かすことができ、付加価値を高めることにつながることが期待できるという。

 これまではキュアリング技術の詳細が不明で、国内で香りのいいものを作るのが難しかった。玉城代表らはマダガスカルやメキシコなど生産先進国に行き、農家や技術者の話を聞くなどしてキュアリング加工を追求した。

 プロジェクトの立ち上げに協力した洋菓子会社のクラブハリエ(滋賀県)の山本隆夫社長兼グランシェフは「マダガスカル産を超えたら店で使う予定だったが、質は既に超えている。安定性と生産量の問題を解決すれば洋菓子業界が変わるかもしれない」と評価した。
 (福田修平)