ビリヤードの大屋亜梨須選手、飛躍の2年目へ 県出身で初の女性プロ 厳しさと向き合ったルーキーイヤー


この記事を書いた人 Avatar photo 與那嶺 松一郎
活動拠点にするビリヤード場で練習に励む大屋亜梨須さん=8日、東京都目黒区

 2021年12月にプロテストに合格し、県出身女性初のビリヤードプロとなった大屋亜梨須(ありす)さん(25)=沖縄市出身。国内のプロは約300人でそのうち女性は60人と少ない。大屋さんは初めて受けたテストで合格し、2022年1月からプロの道を歩んでいる。

 大屋さんがビリヤードを始めたのは高校2年。バイト先の先輩に誘われて軽い気持ちで挑戦してみたものの、うまくできずに悔しい思いをした。「勉強も運動も割と何でもそつなくこなせる方だったからショックだった。負けず嫌いな性格もあって、気付いたら猛練習していた」と話す。

 高校卒業後は俳優やモデルの活動を始めたが、自身の強みや個性を見つけられずに悩むことが増えた。「自慢できるような特技や趣味もなく、つまらない人間だと落ち込んでいたとき、ビリヤードを思い出した」

 稽古やレッスンで忙しい日々の中で休んでいた練習を再開すると、悩みやストレスが消えていった。一つ年上の沖縄出身の男性の先輩がプロテストに合格したことで、プロの道を強く意識するようになった。

 練習を重ね2021年、日本プロポケットビリヤード連盟(JPBA)のテストに合格、22年1月にプロ登録された。同時に上京を決意するも、家族には心配された。「ビリヤードは遊びの延長みたいなイメージがあるけど、オリンピックの追加競技候補にも入る立派なスポーツ。海外では試合会場に観客が押し寄せ、テレビ中継もされている」と大屋さんは話す。家族の反対を押し切って上京し、新しい生活をスタートさせた。

 「ルーキーイヤーの1年間は、環境の変化についていくのが精いっぱい。プロとアマチュアのレベルの違いに圧倒され、周囲との差を思い知らされた。初めてビリヤードをするのがつらいと感じた」と昨年を振り返る。

 コロナの影響で思ったような練習ができず、大会に出場してもなかなか成績が上がらない状況に焦りを覚えながらも、自分のペースを守りながら努力を重ねた。専門のコーチの下でフィジカルトレーニングを始め、筋肉をつけて体幹を鍛えると、少しずつ成績が上向き始めた。「体を鍛えるとメンタルも同時に強くなっていく気がする。今年に入ってからは初心に返りクリアな気持ちで試合に臨めるようになった」と語る。

 今年1月に開催された関西オープンでは、出場者57人中25位タイと自己最高を更新した。目標は国内大会での優勝。海外の試合への出場も視野に入れている。
 沖縄を出るときに反対していた家族も、大屋さんの熱意を認め、今では応援してくれているという。「努力を続ければ結果はついてくる。今は未熟だけど、いつかはプロとして憧れられる存在になりたい」と意欲を見せた。
 (普天間伊織)