沖縄は再び政府の捨て石 復帰51年、岐路の沖縄 石原昌家・沖国大名誉教授に聞く


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インタビューに答える沖縄国際大の石原昌家名誉教授

 日本復帰51年を迎えた今、沖縄は岐路に立っている。昨年末、政府が南西諸島防衛強化を盛り込んだ安全保障関連3文書を改定し、反撃能力(敵基地攻撃能力)を持つと言い出した。これは「戦争になるぞ。最前線は沖縄だ」と宣言したのに等しい。沖縄は再び、日本政府の捨て石にされようとしている。

 米施政権下の沖縄は、生きるも死ぬも米軍次第という時代だった。米軍は基地建設のため「銃剣とブルドーザー」と言われる手法で土地を強制的に収用した。沖縄では基地の全面無条件返還を求め、「祖国日本へ」という熱烈な気持ちを持っていた。

 ところが1972年の復帰後、基地機能はむしろ強化され、自衛隊も配備された。日本政府もさまざまな法律で土地を確保し、米軍に使わせ続けている。

 2005年に日米が離島防衛の共同訓練を始めたころから「沖縄戦前夜だ」と警鐘を鳴らしてきた。だが最近、報道機関が実施した首長アンケートでは岸田政権の防衛力強化への賛成が反対を上回った。

 陸上自衛隊駐屯地が新設された石垣市の中山義隆市長は反撃能力を容認。住民を戦争に巻き込む状況に歯止めがかからない。「軍隊は住民を守らない」との沖縄戦の教訓が今、問われている。

 沖縄には非戦を目指す思想がある。「命どぅ宝」(命こそ宝物)という言葉があり、戦前には沖縄出身の比嘉静観牧師が「無戦世界」の思想を米ハワイで広げた。それは戦後8年目に、戦争のない世界を目指す世界連邦建設琉球同盟の結成に結実した。

 その精神を引き継ぐ玉城デニー知事は4月に地域外交室を立ち上げ、各国との交流と対話に努めるとしている。早急に戦争回避の動きを県民が共に盛り上げていくべき時だ。

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 いしはら・まさいえ 1941年、台湾・宜蘭市生まれ。沖縄国際大名誉教授、専門は平和学。近著に「国家に捏造(ねつぞう)される沖縄戦体験」など。
(共同通信)