「集団自決」は複合的な暴力 宮城晴美さん、講演会


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ジェンダーの視点で「集団自決(強制集団死)」を問い直すをテーマに講演する宮城晴美さん=21日、都内

 【東京】沖縄女性史研究家の宮城晴美さんを招いた講演会(沖縄戦首都圏の会主催)が21日、都内のエデュカス東京であった。宮城さんは「ジェンダーの視点で沖縄戦、『集団自決(強制集団死)』を問い直す」をテーマに講演して「集団自決は米軍、日本軍、家父長制(門中制度)による複合的暴力の帰結」と指摘した。

 宮城さんは社会的、文化的につくられる男女の差別である、ジェンダーの視点から「集団自決」の背景を語った。夫の「家」を継承するため男児出産が求められるなど、伝統的な家族制度の考えが戦前から県内にもあったことを説明。銃後の守りなど制度的な人心の縛りが「集団自決」の一つの要因を構成し、軍隊の暴力性と相まったことを語った。

 戦後の米軍の沖縄に対する意識には「犠牲を出して勝ち取った戦利品」との見方があり、そこから派生する軍隊の暴力も日米地位協定が放免する関係性にあると指摘。「諸悪の根源」と指弾した。沖縄の現状について「自衛隊も加わって軍事化が進んでいる。とにかく腹が立ってしょうがない」と語った。

 メディアの性暴力に対する報道のあり方にも言及。「乱暴」「暴行」との表記について「これでは被害の深刻さが伝わらず、加害者の責任があいまいにされるのではないか」と話した。
(斎藤学)