【与那国】旅先に滞在しながら仕事をする「ワーケーション」について、与那国町が島を訪れる観光客への移動費や宿泊費の一部を助成することを検討している。町によると、事業者ではなく、自治体がワーケーション促進を支援するのは珍しい。国が新型コロナウイルスや物価高対策として自治体に分配する地方創生臨時交付金を活用する考えで、早ければ本年度中にも開始する。
コロナ禍で需要が高まったワーケーションを「新たな客層」として捉え、来島者増を目指す。県内複数の自治体が、域内で宿泊した観光客らから宿泊料に上乗せして徴収する「宿泊税」を検討するなど、税収増を図って観光の質向上を目指す動きがあるが、与那国町は助成によって誘致を促進し、魅力を発信していく。
県によると、2022年の与那国町への入域観光客数は3万2287人(前年比7106人増)。冬場はダイビングや釣りなどで来島者が多い一方、夏場は減少することを踏まえ、ワーケーションを支援することで夏場の旅行の需要拡大を狙う。来島者増により、町内の経済活動を活性化させ、事業者を支援する目的もある。
ワーケーションで訪れる人には申請書の提出を求める。最低3日以上の滞在などの条件を満たしていると町が認めた旅行者に対し、航空運賃や宿泊代を一部助成する。町内の民間宿泊施設でWi―Fi(ワイファイ)を利用できるよう環境整備も進める。助成の割合など詳細は今後検討を進める。
町担当者は「(宿泊税などのように)来島した人から徴収することは考えていない。島に来て観光しながら仕事ができるようになるよう、支援したい」と実現に向け意欲を示した。
(照屋大哲)