【東京】文部科学省は22日までに、2023年度の教職員のメンタルヘルス対策に関する調査研究事業で、沖縄県教育委員会が計画する事業への交付を決めた。同省への取材で分かった。那覇市教委と連携し、那覇市内の小中学校を対象に、教職員の相談体制の整備、病気休職(病休)者の復職支援などを進める。
県内の「教員不足」の一因との指摘もある、精神疾患などによる教職員の病休の深刻化を受けた対策の一環。那覇市での事業をモデルとし、県内全域での展開も目指している。
文科省によると、県教委の事業は、教職員のメンタルヘルス対策に関する効果的な体制や取り組みなどのモデルを創出することを目的とする。県教委の事業には、最大1290万円が交付される見込みだ。
那覇市教委と連携し、市内の小中学校で、精神疾患などによる教職員の病休を減らすための予防措置を「未然防止」「早期発見・対応」「復職支援・サポート」の3段階に分けて実施する。
ICT(情報通信技術)を活用した産業医・保健師への相談体制の整備を進めるほか、教職員自身による「セルフケア」、教職員の上司らによる「ラインケア」が機能するよう、チェック体制の充実も図る。
「復職支援」として、ICTを活用した「リワークプログラム」も計画している。事業に関し、本年度中に、学校長や医療・心理分野の専門家らを集めた協議会を開催する。
同事業は、精神疾患などによる教職員の病休が全国的に広がり、「教員不足」が深刻化していることを受けて、文科省が3月から4月にかけて公募した交付金事業として採択された。文科省の交付金事業は、沖縄県教委のほかに神戸市教委、白石市(宮城県)の2事業への交付も決まった。
(安里洋輔)