農相による「是正指示」の適応性の審査を サンゴ採捕申請をめぐり沖縄県が国に反論書 辺野古係争委員会


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高い生物多様性を誇る大浦湾の海=名護市

 名護市辺野古の新基地建設を巡り、沖縄防衛局が提出したサンゴの特別採捕許可申請を許可するよう求めた農林水産相の「是正の指示」を不服とし、県が総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」に審査を申し出た件で、県は25日、国の答弁書に対する反論書を係争委に提出した。

 国側は、県が特別採捕許可申請を不許可とした処分を取り消す裁決の拘束力により、同じ理由で採捕許可申請を不許可処分とすることはできないため、係争委の審査でも違法事由として主張できないなどとした。これに対し、県は反論書で「裁決が、係争委や裁判所の判断を直接拘束することはない」と訴え、農相による是正の指示の適応性を審査するよう求めた。

 反論書で県は行政不服審査法52条により、県が裁決の拘束力に抵触する主張をすることが制限され、係争委や裁判所の審理範囲が制限されるのかが問題だと指摘。

 国土交通相による是正の指示の適法性が争われた3月16日の福岡高裁那覇支部判決が訴訟における裁決の拘束力による主張制限を否定したことにも言及し、裁決の拘束力が「争訟の手続きに及ぶものと解釈することはできない」と強調した。
 (知念征尚)