相撲、前田(中部農)が心技体充実で3冠 持ち前のスピード、粘り発揮<県高校総体2023>


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 県高校総合体育大会(県高校体育連盟、県教育委員会主催)が27日に本格的に開幕し、県内各地で集中開催される23競技を行った。重量挙げの男子73キロ級は新城光人(こう)(沖縄工)がスナッチで大会新、ジャークとトータルで県高新で優勝した。61キロ級は並里久仙(ひさのり)(糸満)がスナッチとトータルで県高新で頂点に立った。陸上の男子400メートルは平川慧(コザ)が47秒73で大会3連覇。女子1500メートルでは親川杏花(北山)が4分30秒29で大会記録を塗り替えた。カヌー男子カナディアンの山城瑞希(沖縄水産)がシングル200メートル、上原志颯(同)と組んだペアの500メートル、200メートルで3冠を達成した。柔道団体戦は沖縄尚学が男女とも制し、男子は16連覇、女子は17連覇。レスリング男子55キロ級は玉城悠(北部農林)、60キロ級は眞栄田空斗(同)、65キロ級は野原海斗(同)が制した。


無差別級決勝 伊良部誠士を攻める中部農林の前田俊之丞(右)=27日、うるま市の具志川ドーム(喜瀬守昭撮影)

 前田俊之丞(中部農林)が小学生からの相撲人生で初めて、個人戦で優勝した。無差別級決勝戦で伊良部誠士との同校対決に勝利し、団体戦と80キロ級も制して3冠を達成した。充実した心技体でつかんだ栄冠に「まだ実感が湧かないけど、非常にうれしい」とはにかんだ。

 173センチ、77キロと体格は決して大きくないが、持ち味のスピードと土俵際の粘りを存分に発揮した。伊良部の強い当たりにもひるまず左を差すと、一気に前に出て豪快な寄り倒しで優勝をつかんだ。

 5月のOTV杯決勝でも伊良部と対戦して苦杯をなめた。「がちがちだった」と振り返る。大会では緊張で実力を発揮できないことも多かったが、高校最後の大会となる県総体は自信を持って臨んだ。和宇慶忠勝監督は「ここ1週間、緊張せずのびのびと相撲を取っていた」と一皮むけた教え子の成長に目を細めた。

 80キロ級最終戦では、3月の全国選抜を制した眞榮里優翔(中部農林)と対戦した。立ち合いで変化した相手に対し「頭に入っていた」と冷静に対応し、もろ差しから最後は持ち上げて寄り切った。全国に向けて「体づくりをして上位を目指す。優勝を取りたい」と意欲を燃やした。

(沖田有吾)