毎週のように不発弾処理、どうして? 今も埋まる1893トン、沖縄戦が生活に影響<ニュースはじめの一歩>


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不発弾処理のため、ベニヤ板で覆われた那覇市立病院の窓=21日午前9時15分

Q:県内各地で毎週のように行われる不発弾処理について教えてください。

A:沖縄戦で激しい艦砲射撃、砲爆撃を受け、地上戦の戦場となった沖縄では、今も地中に多くの不発弾が埋まっています。県消防防災年報(2021年版)によると、当時使用された弾薬量は約20万トンとみられ、その5%の1万トンが不発弾として残ったと推定されています。不発弾は沖縄戦から78年たった今でも殺傷力や破壊力を維持しています。そのため処理に当たっては対策本部が置かれ、万が一に備えて避難区域が設けられます。

 最近の例では21日に那覇市古島の那覇市立病院で米国製5インチ艦砲弾の不発弾が処理されました。病院によると、敷地内の工事でこれまでに3個の不発弾が見つかっています。今回は、入院患者340人とスタッフ260人が避難対象となりました。患者の中には人工呼吸器を装着しているなど移動が困難な人もいます。避難困難な患者は、窓にベニヤ板を二重張りにして室内にとどまる措置が取られました。

 一方で、ベニヤ板の設置は1週間ほど前に行われており、患者は窓がふさがれた病室で過ごさなくてはなりませんでした。また、急病センターも閉鎖されるなど、市民生活にも影響が出ました。

 県の発表によると、不発弾は2021年度だけで427件、弾薬量13.3トンが処理されました。復帰から21年度までに約2107トンが処理されています。しかしなお、約1893トン余りが埋没していると推定されます。78年前の沖縄戦は、今も私たちの生活に大きな影響を与えているのです。