「ミスターキングス」こらえきれず涙、夢見た景色を現実に キングス一筋11年の岸本「やっとたどり着けた」


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キングス―千葉J 第1Q、シュートを放つキングス・岸本隆一=横浜アリーナ

 キングス一筋11年目の岸本隆一が、Bリーグ決勝の舞台でも存在感を示し続けた。頂点の瞬間はベンチで迎えたが、コート上で優勝を決めた仲間を見るとタオルを頭からかぶり、床に手をついた。そして仲間の待つコートへ向かい、タオルで顔をぬぐう。その瞳は潤んでいた。

 決勝第2戦の開幕弾は岸本の左サイドからの3点弾だった。その後はドライブからバックパスでジャック・クーリーへのアシストで得点に貢献。第2クオーター(Q)にはジョシュ・ダンカンが相手選手の壁となって、フリーになった岸本が落ち着いて距離のある3点弾を決め、会場を盛り上げた。

 試合後の会見では「歩んできた道を振り返っても、キングスは何度も壁に当たっても乗り越えて、今日という日を迎えた」とbj時代からの時間に思いを巡らせた。bjの頃の優勝は他の選手の後についていくような気持ちもあったが、年齢を重ねてチームを引っ張る側へと立場も変わった。「しーげーさん(金城茂之)やジェフ(・ニュートン)、マック(アンソニー・マクヘンリー)が見ていた景色がこういう感じなのかと思う。やっとたどり着けた」と感慨深げだ。

 そして沖縄、特に子どもたちへの思いに言葉に力が入った。「今回の優勝は沖縄にとって意義がある。好きという気持ちを持ち続け、夢中になったその先にすごくもっと大切なことが返ってくる。バスケットが好きな沖縄の子どもたちに、ずっと好きでいてほしいと思う」。沖縄のバスケット界に新たな歴史をつくった岸本とキングスの一歩から、新たな選手が生まれてくるに違いない。

 (屋嘉部長将)