子ども虫歯ワーストの沖縄、歯科医師が訴える「フッ化物洗口、小学校に導入を」


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フッ化物洗口の手順を紹介するはごろもファミリー歯科の神下太一医師=19日、宜野湾市

 沖縄県では、虫歯罹患(りかん)率や未治療率が全国下位の状態が続いている。県内の虫歯罹患率の低減に向け、世界保健機関(WHO)や厚生労働省、歯科医師などが推進する「フッ化物洗口」に期待が高まっている。宜野湾市のはごろもファミリー歯科の神下太一医師は「安価で安全に虫歯の進行度を遅らせることができる、フッ化物洗口を小学校に一刻も早く導入すべきだ」と提案する。

 フッ化物洗口は、一定濃度のフッ化ナトリウム溶液(5~10ミリリットル)を用いて、1分間のうがいを行う方法で、虫歯予防手段として有効とされる。1人当たりのコストは年間で最少で200円程度と安価なため、第一大臼歯が生える6歳頃からを対象に、全国の小学校などで導入されている。

 自然水にフッ素が多く含まれる地域では虫歯が少ないというアメリカの研究を受け、新潟県では1970年のフッ化物洗口導入を皮切りに、現在は県全体での取り組みを行っている。新潟県は12歳児平均虫歯本数が全国で最も少ない。

 県内では、市町村単位でモデル校を作る動きが2018年に出始めたが、新型コロナの影響で中止された。

 学校でフッ化物洗口を導入する場合、フッ素洗口液を薄める作業を学校職員が行わなければならず、業務過多が懸念されていた。しかし、最近は調剤の必要のない洗口液もあることから、導入のハードルが下がると期待が高まっている。

 神下医師は「健康格差は、子どもの頃から生まれてしまっている。自己責任ではなく地域社会の問題として捉え、地域が一体となって取り組むことが必要だ」と主張した。
 (與那覇智早)